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私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う――。同居していた祖母を亡くし途方に暮れていた桜井みかげは、田辺家の台所を見て居候を決めた。友人の雄一、その母親のえり子さん(元は父親)との奇妙な生活が始まった。絶望の底で感じる人のあたたかさ、過ぎ去る時が与える癒し、生きることの輝きを描いた鮮烈なデビュー作にして、世界各国で読み継がれるベストセラー。「海燕」新人文学賞・泉鏡花文学賞受賞作。
水みたいに染み渡る普通の文章が心地よい。 出てくる人物は、辛くてもクールさを装うあまり現実味のない感じはする。 しかし、この小説で一番伝えたいと感じた『絶望の淵から踏み出す小さな一歩』が描かれる場面では、急に繊細に人間っぽく書かれていて、逆にそのメッセージ性を強いものにしていると感じた。 『強く生きないことの大切さ』を知れた気がする。