東大・角川レクチャーシリーズ 00 『ロードス島戦記』とその時代 黎明期角川メディアミックス証言集 - マーク・スタインバーグ/大塚英志 - 小説・無料試し読みなら、電子書籍・コミックストア ブックライブ
『ロードス島戦記』の作家水野良、創作集団代表安田均、編集の吉田隆、野崎岳彦らのインタビューによって明らかになる、TPRGとメディアミックスの実態がここに。『ロードス島戦記』関連年表も収載。
2014年に東大で行われたメディアミックスについて行われたセミナー/インタビュー集。ロードス島戦記を通じて角川のメディアミックスを分析している。ロードスだけでなく、メディアミックスの方法論の評伝としても資料的価値は高い。 なお、私はロードス島の小説、コンパニオン直撃世代であり、その視点からの評となることを了承いただきたい。 本書の特筆すべき点としては、安田均、水野良やその編集者らの、ロードス島コンテンツ立ち上げメンバーの生の声が入っている点にある。そもそもTRPGから発したコンテンツであるが、ゲームとしての側面だけでなく、閲覧されるコンテンツとして関係者がどのように、楽しんでもらうものとして、また商業的成功を模索していたかの証言はとても貴重だ。 一方で、TRPGやファンタジーを日本に広めたのは自分たちだ、というような論調もあるが、70年代からコナンやグインがあったこと、ホビージャパン系列のタクティクスからRPGマガジンの流れや、シミュレイターで紹介された7つの祭壇に触れないのは我田引水の誹りを免れまい。 グループSNEは日本のライトファンタジー(あえて「ライト」」と記する)、TRPGの牽引役であったが、一方で、特にTRPGファンからの毀誉褒貶が激しい集団でもある(最近は知らないが、2000年代は顕著であったように記憶する)。 それらの批判はTRPGをゲームとしてではなく、ある種消費されるコンテンツとして取り扱った(人口に膾炙するためには仕方がなかったとも思うが)ことによると当時は考えていたが、それだけではなく、上記のような振る舞いも批判の対象となっていたのだろうと推察できる。 ただし、大手出版社で社を上げて取り組んだのは角川であり、グループSNEであり、マニア/オタクだけのものでなくした功績があったのは事実である。